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花粉症、つらいですね。筆者である院長も花粉症です。
私の考えている安全で効果的な花粉症治療のことを少しつづります。
1.花粉症とは:アレルギー性鼻炎のうち樹木や雑草の花粉を吸うことで鼻水、くしゃみ、鼻詰まり、目のかゆみが起こることを花粉症といいます。ひどくなると、のどが痛くなったり、咳が出たり、蓄膿症になったりします。
2.治療法の概要:治療法、実はガイドライン(学会で作った治療法の決まり)というのが作られており、症状によって薬の使い方が決まっています。当院ではこの決まりをベースにして、患者さんの生活習慣、体調、年齢などを考慮して経験的に一番効き目のある薬の組み合わせを考えて治療しています。最近いろいろな良い薬が発売されました。良く効いて、かつ眠くならない薬、即効性があり、鼻づまりを解消してれる薬など、新世代の薬を処方できるようになりました。漢方薬を組み合わせることも行っています。患者様の症状はみんな異なり、それぞれ必要な薬の種類や量が異なります。はじめて来院された方は1回で最適な薬が決められないことも多いです。何回か診察をして毎年お付き合いをすることによって最適な治療法が見つかります。
3.花粉症を軽くするには:花粉症は病気であって病気ではありません。アレルギー体質(病気でない)が花粉によって刺激されて症状が出るのです。つまり、花粉を吸わなければ症状が出ないのです。マスク、花粉予防メガネ、空気清浄機などを上手に使って花粉を吸わないようにすることで薬の量を減らすことができます。私の寝室には空気清浄機が2台、24時間稼働しています(ちよっと大袈裟ですね。)おかげで快適にねむれています!
4.良い治療、心配な治療:花粉症治療ですが、基本的な安全な治療のほかに、ちょっと心配な治療法があります。シーズン前に1本注射(ケナコルト®)を打つだけの治療法や、シーズン中ステロイドホルモン(セレスタミン®など)を長期間大量に内服させるような治療を行っていることがあります。この注射は、強力なステロイドホルモンを筋肉に打って体の免疫システムを停めてしまう治療であり,あまりオススメできません。注射による副作用が危惧されます。日本耳鼻咽喉科学会ではこのような治療をなるべく行わないように定めています。確かに強い効果が見られ鼻や目は楽になるのですが、注射部位の皮膚が固くなったり、長期間このような治療を行っていると高齢になってから骨がもろくなって簡単に骨折したり、若い女性だと生理が止まってしまうような副作用が出ることがあります。
ただし、ステロイドを安易に怖がってはいけません。重症の方は短期間ステロイドの飲み薬(セレスタミン®など)を使用したり、体に影響のないステロイド点鼻スプレーを使用したりする治療法はガイドラインに定められた適切で効果的な治療法です。専門の医師を信頼し、定められた方法で薬を使ってみましょう。
5.さいごに:当院では患者さんの安全を第一に考えた治療を行っています。花粉症はつらいですが、命にかかわる病気ではありません。したがって、なるべく安全な治療で症状が軽く済むように治療しなければなりません。花粉症の治療は我々耳鼻咽喉科医が最も得意とする分野です。是非当院のみならず、しっかり患者さんのことを考えた治療をして下さる経験豊富な耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。もし他院で治療を受けて、何か心配事があれば、相談だけでもいたします。気軽にご来院ください。また、妊娠されている方、妊娠を考えている方、授乳中の方、薬の制限のある方もそれぞれ安全な治療法があります。治療をあきらめず、ご相談していただけたら幸いです。